テツノカイナを使いたいが、どうしてもパーモットより弱く感じてしまって使えない
要約
- オーソドックスな型で運用する場合に、テツノカイナとパーモットを比較するとパーモットに軍配が上がる部分が非常に多い
- テツノカイナは圧倒的な数値があるにもかかわらず、今一つ噛み合わない部分が多く運用が難しいポケモンである
本文
両者の配分、持ち物は以下の特に調整を意識しない汎用的なものとし、テラスタイプと技、(パーモットの)特性は自由に変更できるものとする。
パーモット
持ち物: きあいのタスキ
実数値: 145-167(252)-91(4)-x-80-172(252+)
テツノカイナ
持ち物: とつげきチョッキ
実数値: 229-211(252+)-128-x-120(252)-71(4)
テツノカイナよりパーモットが優れている点
一致技の性能
最も致命的な格差。
パーモットは電光双撃という威力120、反動無しという破格の技を備えている。カイナのワイルドボルトより指数が高い上にテラスを切れば連発可能、反動無しで襷を削らないとパーモットの種族値と噛み合いが良い。
一方のテツノカイナは反動ありのワイルドボルトか、威力に不安のある雷パンチの二択となる。
ワイルドボルトは反動ダメージがあり、Sが低く上から殴られる前提のテツノカイナとの相性は良くない。
また雷パンチの威力はかなり微妙で、例えば水/飛行テラスを切ったジバコイルをワンパンできない(猫+雷パンチで低乱数)など、パーモットの電光双撃と比べると確定数が変わる相手が間違いなく多い。
もう一つの一致技であるインファイトも双方が備えているが、パーモットが使う場合は上から連発できて襷との相性もよい反面、テツノカイナが使う場合は耐久が下がって上から二発目を受ける際に不利になるため相性が悪い。次点のドレインパンチは回復込みで考えれば悪くないが、雷パンチと同様技威力が低いのが良くない。
素早さ
当然だが上から殴れた方が強い。テツノカイナはドドゲザンと同速で、準速や最速も意識されやすいラインのため環境的にも向かい風。
パラドックスの解禁で速くて強いポケモンが増えたとはいえ、ガブリアス抜き調整を抜けるパーモットのSラインは依然として優秀。
先制技
パーモットにはマッハパンチがある一方、テツノカイナには猫騙しかないうえに、パーモットも猫騙しを覚える。
また猫騙しの運用法としては、対面から自分より遅い襷持ちに対して猫+高火力技で無償突破を狙えるという点でパーモットの方が柔軟である(例えばパーモットは猫+インファイトで襷キノガッサを突破できる)。
逆にいつでも撃てる先制技は、対面で突破した後2体目に削りを入れる役割としてテツノカイナが持っていれば有効に使えるケースも多い。ハリテヤマから受け継がなかった性能のうち最も致命的なのがバレットパンチといっても過言ではない。
行動保証
襷パーモットは襷を行動保証として上から2回殴るポケモンであり、テツノカイナは数値を行動保証として下から1回殴るポケモンである。
テツノカイナの耐久は確かにバグレベルでだいたいの技は一発耐えるのだが、逆に言えば一発耐えるのが精いっぱいである(例えば特化セグレイブの巨剣突撃は確定2発だし、テラスを切って等倍になっても眼鏡ハバタクカミのテラスムーンフォースは高乱数2発であり、どちらも受け出しはできない)。
また上にあげた技性能、素早さ、先制技のどれもがテツノカイナの性能と噛み合っておらず、単純に殴る性能だけでも総合的な仕事量でパーモットに勝てない場合が多い。
蓄電
SVシーズン4の環境はセグカミラッシャの流行からロトムやジバコイルなどが見直されて電気技が飛び交う環境となっているため、電気無効の蓄電は環境にかなり刺さっている特性である(特にボルトチェンジをカットした場合のアドバンテージはかなり大きい)。
テツノカイナも電気タイプ+チョッキ持ちなので電気技への後出しは可能だが、いざ後出しした後のアドバンテージがパーモットと比べて乏しい(技威力が低いので圧力がかからない、ボルチェンなら有利対面を作られる、ロトムに上から鬼火を撃たれてしまう)ため、蓄電の有無も性能に響く部分である。
再起の祈り
パーモット第二の代名詞である再起の祈りも、当然だがテツノカイナとの大きな差別化点である。
受け辛い電気/格闘の高火力技で殴りつつ、どちらも通りが悪い相手に対しては再起で有利な味方を蘇生する、という動きが最終盤の選択肢を増やすため、うまく構築を組んだ場合は非常に強力である。
補助技
パーモットはほっぺすりすりやアンコールといった優秀な補助技も覚えるため、起点作り運用も可能である。
一方でテツノカイナができるのは電気玉投げつける程度であり、殴る以外の型の開拓はかなり厳しいと思われる。
パーモットよりテツノカイナが優れている点
地震
最も大きな差別化点といえる。
パーモットはサブウェポンが火力不足であり不一致テラスタルを生かしづらい(2倍鉄拳冷凍パンチ = 等倍電光双撃/インファイトのため、冷凍パンチを採用する意義は限定的)。
一方のテツノカイナは地震があるため地面テラスタルという選択肢が生まれるのは利点。また(幸か不幸か)一致技との噛み合いが悪いためテラバーストとの相性も(相対的に)良い。
サイクル適性
言うまでもないが耐久の数値は全く違う(物理方面は2倍以上、特殊方面は3倍程度硬い)ので、(上述の蓄電が活きるケースを除き)多くの場面でサイクル性能という点ではテツノカイナの方が高い。
また遅いため、後攻ボルチェンで対面操作をする性能も高い。
鋼打点
地震ほどではないが、ヘビーボンバーやアイアンヘッドを覚えるのはパーモットとの差別化点といえる。特化アイへで無振りハバタクカミ程度ならワンパン。
一方で地面が抜群なため鋼テラスタルとの相性はあまり良くない。
剣舞/鉄壁
なぜかビルドアップを覚えない露骨な調整がなされているが積んで何かをするという選択肢もなくはない。一致鉄壁ボディプレができるというのは強いように見えて、再生回復技がないのでただただ鉄壁ボディプレをする化け物が生まれるだけなのは残念。
クォークチャージ
上げたものの、上述の通りテツノカイナを対面的に使う場合は欠点がかなり目立つため、ブーストエナジーとの相性は良くない。何らかのギミックでエレキフィールドを貼って鉢巻+Aアップで超火力を生むのはロマンがあるが、エレキフィールドを貼る動きが現在のプールでは全く強くないため実用出来ではない。
はらだいこ
猫騙し以外の先制技を覚えない露骨な調整を受けているため、実用化は遠い。
まとめ
パーモットの利点は明確にテツノカイナとの差別化に成功できているのに対し、テツノカイナは確かに差別化点を持ってはいるもののそれが決定的な採用理由に繋がりにくいため、テツノカイナを採用するならパーモットか、他の何かを採用した方が強いという結論に至ってしまう。
チョッキカイナ自体が対面で一体倒す以上の仕事ができないということはさんざん言われているポケモンであり、実際にそれ以上の働きをさせることは難しいように感じた。
どうしても使う場合はチョッキではない運用の方が可能性があるように感じた。
ハバタクカミやテツノドクガのような強い眼鏡アタッカーに対して受け出しができないので、特殊に対して役割を持ちづらいタイプであり、チョッキアタッカーは環境に適合できていない。そのため鉢巻を持ってサイクルを回しつつ火力を押し付ける崩し役として使う方が良いかもしれない。
ワイルドボルトで特化アーマーガアも中乱数1発、テラスタル地震で腕白HDキョジオーンなら確定一発にする程度の火力はあり、ボルチェンで対面操作も可能。ただテラスを切る場合一致打点と素早さで優るセグレイブという壁があるため、これもなかなか採用するのは難しいのであった。。